2009年10月25日日曜日

UFC104 外伝II

15時30分に成田を離陸する予定だったNW02便はこの日はキャリアトラブルで離陸が18時30分に遅延された。僅かでも時間が稼げれば、勇信のパスポートが16時前に見つかれば、運がよければ16時3分東京発の成田エキスプレス37号をつかまえNW02に滑り込むことが出来るかもしれない。ノース・ウェストのカウンターで地上乗務員に事情を説明し、最良のケース、そして最悪のケースに備えた対応策を相談する。仮に16時過ぎにパスポートが出てきた場合、今日中に飛ぶことは出来ない。
じつはもう一つ問題が発生する可能性があった。それは今回はカリフォルニア・アスレチック・コミッション、CSACの認可を受けたカリフォルニア州内のドクターによってのみ、有効なメディカルを受けることができると言うことだった。カリフォルニアで必要となる主要なメディカルは、Eye Exam、EKG(心電図)、MRI(磁気共鳴画像装置)、Blood Exam(血液検査)などだ。このうち時間がかかるのがMRIとBloodで、MRIは予約が無ければ直ぐには受けられないし、Bloodは検査を受けて結果が出るまでに最低でも丸1日かかる。
おそらく今回のメディカルはLAX(ロスアンゼルス国際空港)に比較的近いDr.グルックマンのオフィスで取ることになるだろうから、午前中にLAXに着ければ21日着でも23日の公式計量に間に合わせることができる。
ところが残念なことに、ノース・ウェストのカウンターで仮押さえができた21日発のエアーはポートランド、ソルトレイクを経由する便しかないためロス到着は14:44分。これでは明日の便でロス入りできてもメディカルが間に合わない...。
勇信、今回のトラブルは君のキャリアにとって致命的なものになるかも知れないよ...。
16時を過ぎても勇信のパスポートは見つからなかった。
「最終的な結論が出るまで試合があるという前提でキチンとコンディショニングをしてくれ。あとはパスポートが出てきてもJRの陸送に乗ってしまうと2~3日受け取れなくなる可能性があるかもしれないから、中央線の各駅を回って”何度もすいません!”と頭を下げて足で探すしかないよ。」と最後に携帯で伝えると、浮かない気分で18時30分発のNW02便に乗り込んだ。


8時間ちょっとのフライトで現地時間11時半ごろにLAXにつくものの、ZUFFAのドライバーとうまく合流できずにWilshire Grand Los Angelesについたのが15:30。ホテル内のZUFFAオフィスでチェックインを済ませると、グレッグさんが「あとはファイターをつれて来るだけだ。」とちょっと暗い面持ちで口にした。
ところが部屋に入ってPCをWiFiをつなぐと、次々とグッド・ニュースが舞い込んできた。
「有りました。とりあえず、エアーやります」
「岡見君、藤井君と同じスケジュールで到着します」
「メディカル大丈夫みたいですね、連絡きました」
ありがたいことに、僕が機中にいる間に、勇信に関わる方々が全力で働き、全ての問題をクリアーしていてくれたのだ。
この時になって初めて、この件に関して驚きを通り越した感情が胸に沸き起くるのを感じた。

「よかった...。」

~つづく

0 件のコメント:

コメントを投稿